【個別指導で”実地指”が認められない!?】プラークチャートの添付:根拠資料としての保管の重要性

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先生方、お疲れ様です。
歯科個別指導サポーター、現役歯科開業医の小出一久です。

日々の診療、大変お忙しいことと存じます。
診療の合間を縫ってのカルテ記載、本当に頭が下がります。

さて、今日は「歯科衛生実地指導料(実地指)」について、少し踏み込んだお話をさせていただきます。
特に、個別指導の現場で非常に多くの先生が指摘を受け、場合によっては返還請求の憂き目に遭っているポイント、それが「プラークチャート(PCR)の添付と保管」です。

「え? 実地指なんて、衛生士さんが指導して、カルテに『ブラッシング指導』って書いておけばいいんじゃないの?」

もし今、一瞬でもそう思われた先生がいらっしゃったら、この記事はまさに先生のために書かれたものです。
その認識、個別指導では「不備」ではなく「算定要件を満たしていない」と判断される可能性が高いのです。

今日は、なぜプラークチャートが必要なのか、カルテにどう残すべきなのか、そして個別指導で身を守るための鉄則を、具体的な事例を交えて解説していきます。


1. なぜ「実地指」でプラークチャートが必要なのか?

まず、基本ルールのおさらいです。 歯科衛生実地指導料(実地指)の算定要件には、指導内容の要点(プラークの付着状況、指導した内容など)をカルテに記載すること、または患者さんに提供した文書の写しをカルテに添付することが求められています。

ここで重要なのが、「プラークの付着状況」の客観性です。

「プラーク付着あり」だけでは不十分

多くのカルテで見かけるのが、以下のような記載です。

  • 部位:全顎
  • プラーク:中等度付着あり
  • 指導内容:スクラッビング法の指導

これ、一見問題なさそうに見えますよね? しかし、個別指導の指導官(技官)はこう突っ込んできます。

「先生、この『中等度』というのは、具体的にどこの歯に、どれくらい付いていたのですか? 前回と比べてどう変わったのですか?」

これに即答できなければ、「指導の効果判定ができていない」「漫然と指導料を算定している」とみなされます。 ここで最強の武器となるのが、**「プラークチャート(PCR等の記録)」**なのです。

数字と図は嘘をつかない

「プラーク付着率(PCR)45%」 この数字一つあれば、文句のつけようがありません。 さらに、赤く染め出された記録簿(チャート)があれば、それは「指導が必要だった」という動かぬ医学的根拠になります。

2. 個別指導で見られる「悪い例」と「良い例」

では、実際に個別指導の現場でどのような指摘がなされるのか、シミュレーションしてみましょう。

【悪い例:文書提供のみで安心してしまったケース】

  • 状況:衛生士が指導し、患者さんに指導用文書(イラスト付きの紙)を渡した。
    カルテには「実地指算定。文書提供あり」とだけ記載し、文書の控え(コピー)は残していなかった。
  • 指導官の指摘:「先生、提供した文書の写しがありませんね。
    どんな指導をしたのか確認できません。
    それに、プラークの付着状況の記録もありませんね。
    これでは指導の実態が確認できませんので、算定は認められません。」
  • 結果自主返還請求

【良い例:プラークチャートを活用した防衛】

  • 状況:初診時と再評価時にPCRを測定し、手書きまたはソフト出力のプラークチャートを作成。
    患者さんに渡す文書にもPCR値を記載し、そのコピー(または2枚複写の控え)をカルテと一緒に保管していた。
  • 指導官の反応:「PCRが60%から20%に改善していますね。指導の内容も具体的でよろしいです。」
  • 結果指摘なし(是認)

この差は決定的です。
「やった」という事実があっても、「記録(証拠)」がなければ、行政手続き上は「やっていない」のと同じ扱いを受けてしまうのです。

3. 明日からできる! 実践的プラークチャート運用術

「毎回プラークチャートを作るなんて面倒くさい…」 現場のスタッフさんからはそんな声が聞こえてきそうです。 しかし、ここを効率化しつつ確実に残す方法があります。

① 文書提供用紙と一体化させる

最も効率的なのは、「歯科衛生実地指導の説明文書」そのものにプラークチャート欄を設けることです。 市販の指導用用紙や、レセコンから出力される帳票には、プラークの付着部位を塗りつぶせる歯列図がついているものが多いはずです。

  1. 衛生士が染め出しを行い、その場で用紙の図を赤ペンで塗る。
  2. PCR(%)を計算して記入する。
  3. その用紙をコピー(またはスキャン)してカルテに残す。
  4. 原本を患者さんに渡す。

これで「プラークの記録」と「文書提供の記録」が同時に完了します。

② 「時系列」の変化を見える化する

個別指導対策としてさらに加点評価されるのが、時系列の比較です。
カルテの余白や備考欄に、以下のように推移をメモしておくだけでも効果絶大です。

4/1 PCR 65%(全顎的に付着多)

4/15 PCR 40%(臼歯部舌側に残存)

5/1 PCR 18%(改善傾向、左下6のみ注意)

指導官は「治っているか(改善しているか)」を非常に気にします。
チャートそのものの添付に加え、カルテ本文にこの「変化のストーリー」があれば、
指導の必要性と有効性を完璧に証明できます。

③ デジタル管理の落とし穴に注意

最近はiPadなどで説明し、データを保存する医院も増えています。
素晴らしいことですが、個別指導の際は「紙カルテとの一体化」が求められる場面が多々あります。
電子データとして保存してあっても、指導当日に「見せてください」と言われてすぐにモニターに出せなければ意味がありません。
また、電子カルテの場合は「指導提供文書の写し」を画像データとして取り込んでいる必要があります。
「データはあるけど、どこにあるか分からない」が一番のリスクです。整理整頓を心がけましょう。

4. まとめ:チャートは「自分を守る盾」

先生方、プラークチャート(PCR記録)は、単なる「面倒な作業」ではありません。
それは、先生とスタッフが行った「適切な医療行為の証明書」であり、万が一の個別指導の際に
「医院を守る最強の盾」になります。

衛生士さんにも、こう伝えてあげてください。 「君たちの頑張りをちゃんと評価してもらうために、この記録が必要なんだよ」と。

【本日のチェックリスト】

□ 実地指算定時、プラークチャート(または付着状況の具体的記録)を残していますか?
□ 患者さんに渡した指導文書の「写し(コピー)」はカルテに貼ってありますか?
□ カルテの記載とチャートの内容(付着部位など)に矛盾はありませんか?

「あ、やばいかも…」と思った先生。
今日からで構いません。
運用を見直しましょう。
その積み重ねが、数年後の個別指導通知が来た時の「安心」に変わります。

【情報発信者情報】
小出一久(こいでいっきゅう) 歯科医師、歯科開業医

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